サプリメントを購入するとき、消費者である私たちは、その製品が「どのような工場」で、「どのような工程を経て」製造されているかということをなかなか知る方法がありません。もしかしたら、埃や雑菌による汚染対策が十分でない工場で作られ、成分やその含量が表示どおりではなかった、ということも考えられます。これは、今の日本でサプリメントの安全性や品質について、その特殊性を考慮した明確な規制がないためで、大変残念なことですが実際に問題を起こしている製品もあります。

 GMPとは、Good Manufacturing Practiceの略で、適正製造規範と訳されています。原料の入庫から製造、出荷にいたる全ての過程において、製品が「安全」に作られ、「一定の品質」が保たれるように定められた規則とシステムのことです。医薬品では、かなり以前から製薬メーカーに義務として課せられており(通常、日本で「GMP」といえば医薬品を指しますが、化粧品や食品添加物でも業界の自主的な取り組みがすでに始まっています)、最近では中国や韓国といった近隣のアジア諸国において、サプリメントもGMPが法律で義務付けされるようになりました。
「JIHFS GMP」は“安心”と“安全”を作り出すルール

 健康食品、あるいはサプリメントはカプセルや錠剤といった形が主流で、これらの製造工程は医薬品に共通するところが少なくありません。

 JIHFSは、既にスタートしている海外の健康食品GMPや医薬品GMPを参考にしながら、医療や様々な分野のエキスパートの助言をもとに「サプリメントのためのGMP」を作りました。おりしも厚生労働省は2005年2月1日付で、錠剤やカプセル状の形状をとる健康食品の品質と安全性の確保のための考え方として健康食品GMPガイドラインを発表し、業界が自らの努力でこの問題に取り組むように指導しています。JIHFSのGMPはこのガイドラインが求める条件を十分に満たし、さらにより高い品質と安全性を確保するための規範となっています。

製造工場のGMPの客観的評価と認証

 GMPでは工場の構造や設備がどのように作られ、運用されているか、工場の保守・点検・管理、製品の品質管理、衛生管理、製造管理など細部にわたって規則や規格、作業手順書を設け、全ての工程にわたってそれらをチェックし、その記録を残すことが求められます。

 しかし、いくら自社でそれらを十分にやっていると言っても、それだけでは客観性に欠けます。本当に決められた規則や基準が守られているのか、実際に製品は規格どおりに製造されるシステムになっているかを客観的に評価するには、実際に工場の査察を行い、保存された書類をチェックしてその結果を評価しなければなりません。この過程を「GMP監査」と呼びます。JIHFSはJIHFS GMPが求める規則と規格をクリアているかを監査結果に従って審査し、審査基準に合格した企業に認定証を発行しています。

 なお、さらに継続して消費者に製品の安心と安全を保証するため、認証した製造施設を毎年監査し、3年後には改めて再度、新しく監査認証を行います。監査はより公正かつ客観性を保つために、専門性を有する第三者の外部機関の、医薬品GMPのエキスパートにより厳正に行われます。

 GMPは、各製造工場がGMP規範を遵守することが何よりも大切ですが、この監査と審査を行う公正な認証システムを有することも重要です。
当サイトに掲載されている文章、写真、イラスト等は日本健康食品規格協会に著作権があります。無断で複製、譲渡、貸与、転載することを固く禁じます。
(C) 2005 The Japanese Institute for Health Food Standards(JIHFS). All rights Reserved.